肉屏風の密室
著者名:森福都(著)
出版社:光文社
出版年:2008.07
ISBN :9784334926205
童顔の巡按御史・趙希舜一行の活躍を描いた中国宋代を舞台としたミステリーの第二弾。五話収録。
一冊で完結してはいますが、時系列的には『十八面の骰子』の続きとなります。
ちなみに、巡按御史とは中国の皇帝直轄の役職で、身分を隠して諸国を巡遊し役人の不正を断罪する。まぁ、水戸黄門みたいなことをしてるんだと思ってもらえれば判りやすいかと。
それにしても、一作目と表紙の感じが全然違いますねぇ。
題名聞いて、ぬっぺふほふ(←妖怪。何だか姿が肉肉しい)のフォークダンス思い浮かべた私の想像とはえらい違う(ありえないとわかっていても思いついてしまうあたりが業というもの)。
内容に艶っぽい話が混じっているかというと、そういうわけでもないんですけどね。
『黄鶏帖の名跡』
新姚の知事が頻繁に不条理な捕縛をおこなっているとの噂を調査するために、かの地を訪れた一行。しかし、囚人の待遇はよく、疑いが晴れればすんなりと釈放されるという。知事としての評判も概ね悪くはなく、頭を悩ます一行だったが、知事には不倶戴天の敵がいることを知って……。
新姚の知事が頻繁に不条理な捕縛をおこなっているとの噂を調査するために、かの地を訪れた一行。しかし、囚人の待遇はよく、疑いが晴れればすんなりと釈放されるという。知事としての評判も概ね悪くはなく、頭を悩ます一行だったが、知事には不倶戴天の敵がいることを知って……。
五年ぶりの続刊。なので、あれやこれやの設定に関しては、かなり大雑把にしか覚えてない。特に燕児登場の際の話がさっぱり思い出せない。覚えてなくても問題ないといえばないんですが、あるといえばあるので、頭をひねってみたものの、結局一冊まるまる読み終わっても思い出せなかった(前作読め)。
ちなみに、気になったんで調べてみたら『黒竹筒の割符』だった。
『蓬草塩の塑像』
祖父の旧友の陳先生を訪ねた希舜は、先生が検死を担当した不可解事件について相談を受ける。被害者は首を絞められ池に落とされていたのだが、水音がした時、皆が皆事件当時に現場にはいないことを証明できる立場にあって……。
祖父の旧友の陳先生を訪ねた希舜は、先生が検死を担当した不可解事件について相談を受ける。被害者は首を絞められ池に落とされていたのだが、水音がした時、皆が皆事件当時に現場にはいないことを証明できる立場にあって……。
いわゆるところのアリバイトリック。ぴたりと収まるところに収まった話。
『肉屏風の密室』
勤怠状況の監察目的で濮州入りを果たした一行を待ち受けていたのは、当の知事の殺害の報だった。しかも彼は室内に人がいながらも殺害は不可能な状況下において「正道の剣」で刺されたのだという。この剣は道を外れた人々に天誅を加えるという伝説のあるもので……。
勤怠状況の監察目的で濮州入りを果たした一行を待ち受けていたのは、当の知事の殺害の報だった。しかも彼は室内に人がいながらも殺害は不可能な状況下において「正道の剣」で刺されたのだという。この剣は道を外れた人々に天誅を加えるという伝説のあるもので……。
清濁併せ持つ夫人の描写がやけに印象に残りました。
『猩々緋の母斑』
順興県の知事の在職期間は極端に短い。実に五人の知事が任期をまっとうできないままその座を退いている。その原因を探りに知事に扮して赴くことになった一行。
しかしその道すがら、旅館で同宿した老人に希舜はこう言われた。
「女難の相がありますぞ。ご用心召され」
順興県の知事の在職期間は極端に短い。実に五人の知事が任期をまっとうできないままその座を退いている。その原因を探りに知事に扮して赴くことになった一行。
しかしその道すがら、旅館で同宿した老人に希舜はこう言われた。
「女難の相がありますぞ。ご用心召され」
まさしく女難の相。女性が良くも悪くも活躍する話。色んなタイプの美女が出てきますが、ちっとも羨ましくはないです。
『楽遊原の剛風』
恩師の杜先生が行方不明だという話を聞いた希舜は、彼が消息を絶った長安へと旅立った。杜先生はかつて巡按御史に就いていた人物で、何かを探っていたようだったが……。
恩師の杜先生が行方不明だという話を聞いた希舜は、彼が消息を絶った長安へと旅立った。杜先生はかつて巡按御史に就いていた人物で、何かを探っていたようだったが……。
結びの話。何だかいろいろさっぱりした。
各話毎の感想がそっけないのは、別に面白くなかったということではないです。充実した気分で読み進めさせてもらいました。一冊で一通り全てが収まるところに収まった気がするので、読み手としては何だか満足してしまい、個別に何かを語りたいという感じはないんですよね(大体変に語るとネタばれになりそう)。
大陸的などこかしらゆったりとした空気の中、水戸黄門的な勧善懲悪の爽快感と、謎解き要素とが同居した作品。読む時は『十八面の骰子』からどうぞ。
企画分にはつけている、この本が好きな人にはおすすめ出来る本のコーナー。
何だか今回は大雑把に、中国といえば井上祐美子作品、と言ってしまいたいところなんですが、思い出したので漫画を一つ。かなり昔に読んだんですが、ちゃんと手に入るようで。
・皇 なつき『李朝・暗行記』
李氏朝鮮時代の王直属の官吏、暗行御史の活躍を描いた作品。
